今日は「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健 著)の第3夜を取り上げて感想を述べてみようと思います。
この本は診察室でよく話題になりますし、「他者の課題に踏み込まない」という部分が心に響いたと言う患者さんも多いです。
コンテンツ
著者紹介
著者の岸見一郎先生は1956年生まれ、京都大学出身です。プラトン哲学や古代ギリシャ哲学を専門とされているようです。1989年にアドラー心理学を学び始め、哲学などの講師をするとともにアドラー心理学の講演やカウンセリングをするようになったとこのとです。「嫌われる勇気」は岸見一郎先生が57歳の時に出版されました。
古賀史健はフリーランスのライターで、1973年生まれですのでこの本は40歳の時に出版されました。26歳の時に岸見先生のアドラー心理学の本と出会って2010年に岸見先生にお会いし本を書くことになったようです。本のあとがきでは、僕はアドラーを学んだというよりは岸見バージョンのアドラーを学んだのだと正直に書かれています。いわゆる正当なアドラーとは少し違うということです。
他者の課題に踏み込まない
自分の課題と他者の課題を分けるのは、「その選択によってもたらされる結論を最終的に引き受けるのは誰か?」という視点です。例えばアルコール依存だったら、アルコールを飲むことで体を壊すことは家族ではなく本人の問題です。
どうして自他の課題を明確にして踏み込まないようにするかというと、人は自分の信じる道を選ぶだけであり、他人を変えることはできないためです。
他者からの評価
相手から評価されることは自分の問題ではなく相手の問題です。自分が優しい、優秀だと思われるのは、相手の問題であって自分は関与できないことです。相手からよく思われたいという承認欲求は、他者の課題の領域に踏み込むことなのでトラブルを招きます。承認欲求は適切な距離感を壊してしまいます。
だから、「嫌われる勇気」を持って、自由に生きようよというのがこの本の主張です。
責任感や使命感から相手の問題まで自分で処理しなければと不安になっている人も結構いると思います。なので、この本は多くの人に響いて売れたのではないでしょうか。相手の仕事と自分の仕事は明確に分けるべきだなと思います。