今日は「悩みの解決」について、精神医学、認知行動療法、カウンセリング・集団プログラムの特徴や問題点からお話しします。
コンテンツ
精神医学
何か問題があったときに、精神医学では診断名を付けます。それによって薬物治療、福祉導入、会話(精神療法)を行います。会話の目的は、患者さんに気づきを与えたり、励ましたり、あきらめを伝えたりすることです。
これは交通整理に似ています。問題を精神医学に当てはめてガラガラっと変えていくわけです。
精神医学の問題:
・漠然とした親子の悩みなど、診断がつかないものはどうする?
・整理されたけれど、病名に納得がいかない場合は?
・あきらめたくない場合は?
認知行動療法
精神医学と認知行動療法は似ています。
精神医学は漠然とした問題、人格から含めたすべての問題に対して診断をつけるやり方ですが、認知行動療法は、ある出来事に対して謝った認知が生まれ、その結果不適切な行動・感情が生じるという1つの流れに焦点を当てて問題理解と解決を目指していく方法です。焦点化する、課題を浮き彫りにすることが大事です。
これはコンサルなどビジネス的な考え方に似ていると思います。焦点化された問題を複数解決することでその人を変えていく、という治療メソッドです。
認知行動療法の問題:
・そもそも焦点化できるのか?
・理解したけれど変われない(合理的なものを受け入れられない自分)
・マニュアルから外れたものは?
カウンセリング、集団プログラム
焦点化しなくてよく、マニュアルもいらない、診断もいらないのがカウンセリングや集団プログラムです。
カウンセリングとは何かというと、一つは「やさしい人と会話をする」ということです。グルーミングといった言い方もします。集団プログラムも、優しい人や傷ついた人と一緒に話したり作業をすることでなんとなく癒されます。温泉のようなものです。
カウンセリング、集団プログラムの問題:
・解決に向かっているの?
・理解や変化って何?
・エビデンスや成果はあるの?
カウンセリングや集団プログラムは再現不能なものなので、科学というよりは文化に近いと思います。
どのような治療が大事なのか
精神医学や認知行動療法のようにロジカルにやっていくものもあれば、カウンセリングや集団プログラムのようになんとなく気持ちが良いなという世界もあります。ロジカルだけでも癒しだけでも不十分で、うまく合わせながらやっていくことが大事です。
うまくやりながら時間を過ごす中で、転機が見えてくることがあります。それが患者さんの自己治癒能力なのではないかとか色々な言い方をします。
言語化しにくいところもある精神医学のカルチャーですが、そこに馴染んで一緒に時間を過ごしてもらえると、人は変わっていくことができます。