今日は「ゲーミフィケーション Gamification」という言葉を解説してみようと思います。最近流行っていますので聞いたことがある人も多いと思います。
ゲーミフィケーションとは、ゲームデザインをゲーム以外の日常にも応用してみましょうということです。なぜこれが流行っているかというと、スマホの中で扱われるコンテンツやアプリはゲームデザインを応用することでいかに使ってもらうかを考えているためです。
教育の分野や発達障害の治療においても、ゲーミフィケーションを利用してコミュニケーションスキルを覚えてもらおうというような研究や議論が活発になっています。
実際に患者さんと話していても、最初はゲームを作っていたけれどアプリ開発に進んだ、もともとゲームに興味があったけれど今は違うものを開発しているといった話は結構聞きます。
コンテンツ
行為依存との関連
なぜ僕がゲーミフィケーションを理解しようとしているかというと、臨床的には「行為依存」との関連性が高いためです。行為依存とはインターネット依存、スマホ依存、ゲーム依存、ギャンブル依存といったもので、これらの理解のためにゲーミフィケーションの理解が重要なのです。
なぜ重要なのかというと、そもそもゲーミフィケーションつまりスマホ市場の方が、ギャンブル依存の治療よりも遥かに予算が潤沢でめちゃくちゃ研究されているからです。ギャンブル依存の研究論文よりも、スマホにどうやってハマらせるかという敵側を知った方が遥かに治療に役に立ちます。
心理学的に考えると
ゲーミフィケーションの研究を心理学的に考えると、現実のさまざまな事象を抽象化し、次の人間が認知・理解・応用しやすいようにしている作業です。
ゲームを作っている人、やっている人は楽しいからやっているわけですが、それがなぜ楽しいのか、なぜ優れているのかはやりながら考えられていっています。その知見が集まっているのでそれを応用していこうという分野です。
ゲーミフィケーションでわかっていること
ゲーミフィケーションでわかっている代表的なことです。
★ゲーマーには様々なタイプがいる=様々なヒット作がある(どうぶつの森、e-sports)
ここからわかるのは、人間には相性があるということです。
どうぶつの森が好きな人に対して、どうぶつの森の中で競争をさせるとか、e-sportsの要素を入れたりするとユーザーが離れてしまいます。どういう人がそのゲームを好むかという理解は、同時にどういう人はそのゲームを好まないかということの理解になります。
日常生活を送っていく上でも相性はあります。この人はどうぶつの森が好きそうだから気が合いそう、この人は格闘ゲームばかりやっているから気が合わないな、などわかります。
★ゲームにハマらせるには?
ゲームにハマらせるためにどうしたら良いかも結構わかっています。
・明確な目標
このゲームは魔王をやっつけるため等
・課題と報酬
次に何をしたら良いか細かく命令を出していき、クリアするごとに武器が手に入るなどの報酬を与える
・現状の問題の可視化
今の問題はレベルが低いことなのか、武器が弱いことなのかなどがわかる。フィードバックがある
・ユーザー交流
SNSも使ってユーザー交流ができた方が面白い。プレーヤー同士の交流がないと今のゲームは流行りません。発達障害の人は交流が必要ないじゃないかとか、僕は交流がないゲームが好きですとか言う人もいますがそんなことはありません。ゲームの外で攻略サイトがあったり感想を言い合うページがあったり、そもそも発達障害の人が好むゲームもありますので同じような特性を持っている人が集まるゲームもあります。
その他に、ゲームは独特な自閉性があり、万能感を得やすいものでもあります。
操作性の気持ちよさもあります。スマホのフリック操作、コントローラーの振動など。単なるバーチャルなものではなく体への刺激があります。こういったこともハマらせる要素です。
勉強・仕事への応用
このようなことがわかると、どうして自分たちが依存してしまうかがわかります。逆にこのようなことを利用して日常にゲームの要素を加えて勉強や仕事に活かすと集中力を維持しながらやっていけますし、目標にも到達しやすくなると思います。