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B群パーソナリティ症(旧:人格障害)について解説します 

03:05 自己愛性P.D.
07:02 演技性P.D.
09:52 境界性P.D.
13:32 反社会性P.D.

今日は「B群のパーソナリティ症」を紹介します。
パーソナリティ症は昔で言う「人格障害」という疾患です。「人格障害」という言葉に偏見の要素があるので、「Personality Disorder(P.D.)」の訳語が「パーソナリティ症」と変わりました。

パーソナリティ症はA群・B群・C群の3つに分けられます。
A群は統合失調症に似たようなパーソナリティ症、B群は他者に働きかけていくパーソナリティ症、C群は内に向かうパーソナリティ症です。

今回紹介するB群のパーソナリティ症には、
・反社会性P.D.
・境界性P.D.
・演技性P.D.
・自己愛性P.D.
の4つがあります。

ネットで調べれば診断基準はすぐに出てきますが、医師の説明を聞きながら見ることでより理解しやすくなるのではないかと思います。
なお、診断基準はDSM-5に沿って説明していきます。

自己愛性P.D.

誇大性、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で成人期早期に始まります。

通院という形で出会うことは少ないですが、職場の上司でこのようなタイプがいたりします。ブランド品が好きで、部下をこき使い、カラオケに行ったら部下に自分の歌を聞かせるようなタイプです。パワハラ上司に多いです。

以下の9つの要素から5つ以上が認められると自己愛性P.D.とされます。

1.自分が重要であるという誇大な感覚
業績や才能を誇張する。十分な業績がないにもかかわらず、優れていると認められることを期待する。
自分の経歴を盛ったりします。 

2.限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想に囚われる
なんだか演技くさいというか、理想的な関係を求めたりします。安っぽいドラマを涙を流しながら「良い話だ!俺もこんな体験があって…」と語ってしまったりします。

3.自分が特別であり独特であり、他の特別なまたは地位の高い人たちだけが理解しうる、または関係があるべきだと信じている
「先生はお医者さんだし、開業医だし、YouTubeもやっているから僕のやっていることわかりますよね! 僕も実はこんなことをやっているんですよ」と言ったり、自分が描いている絵や小説を持ってきたりします。

4.過剰な賛美を求める

5.特権意識、つまり特別に有利な取り計らい、あるいは自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する
特別扱いしてほしいということです。予約時間を間違えても診てほしいとか、他の人の診療時間を奪ってでも自分を診てほしいなどです。

6.対人関係で相手を不当に利用する
パワハラなどです。部下には「残業しろ」と言って自分は帰ってしまうなど。

7.共感の欠如
相手が傷ついていることに無頓着です。

8.しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む
他人の成功を祝えません。

9.尊大で傲慢な行動または態度
偉そうな態度や行動ということです。

自己愛性パーソナリティ障害については別の動画も撮っていますので、よろしければご覧ください。

臨床ではパワハラをする上司として会うことが多いです。本人が来なくても患者さんの話の中に出てきたりします。

演技性P.D.

過度な情動性と人の注意を引こうとする広範な様式で、成人早期までに 始まりさまざまな状況で明らかになります。
注意を引くためにすごい努力をします。

以下の8つの要素から5つ以上が認められると演技性P.D.とされます。

1.自分が注目の的になっていない状況は楽しくない

2.他者との交流はしばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴づけられる
過度なボディタッチがあったり、女性の場合は露出の多い服や体のラインが見える服を着ていたりします。

3.感情をすぐに出す

4.自分への関心を引くために身体的外見を一貫して用いる
見た目のことです。

5.過度に印象的だが内容がない話し方をする
大げさです。

6.自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現を示す
嘘くさい喋り方をします。

7.被暗示的、すなわち、他人または環境の影響を受けやすい
思い込みが大きくなっていきます。

8.対人関係を実際以上に親密なものと思っている
誰かから「良いですね」と褒められると、あとで誰かのことを「あの人は私のファン」と言ったりします。

自己愛性P.D.ほどではないけれど自己愛が強くて演技臭く、演技臭くはあるけれど境界性P.D.ほど短絡的ではない、というのが演技性P.D.の特徴かと思います。

境界性P.D.

衝動的で不安定な感情が特徴です。
対人関係、自己像、感情などの不安定性および著しい衝動性の広範な様式で、成人早期までに始まりさまざまな状況で明らかになります。

以下の9つの要素から5つ以上が認められると境界性P.D.とされます。

1.現実にまたは理想の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力
演技性の人は注意を引きたい、自己愛的な人はそもそも見捨てられるとは考えておらず、見捨てる人は裏切り者だとキレてしまいます。そういう感じではありません。
これまでの2つのPDよりも、根本的な自己評価は低いです

2.理想化とこき下ろしとの間で両極端に揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式
他人への評価が高いがゆえに自分を卑下してしまったり、一方で自分はすごくて相手はダメだとなったりもします。

3.同一性の混乱
自分という自己意識というものがわからない、アイデンティティがよくわからないという感じです。

4.自己を傷つける可能性のある衝動的な行為。
浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、過食、自傷など。

5.自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し
頭が混乱していくので、自傷することによってスッキリして冷静さを取り戻すということもあります。

6.顕著な気分反応性による感情不安定性
感情の波があります

7.慢性的な空虚感
生きていることが虚しい

8.不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難
怒りをコントロールすることができません。

9.一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状
ヒステリックな感じで自己暗示的です。解離というのは、手が動かなくなる、痺れた感じがするなどです。

もう少し衝動性が抑えられると演技的P.D.の要素も入ってきますし、もう少し自己評価が高いと自己愛性P.D.の方にいきますが、演技性を保てず、基本的には自己愛は低い、自信がないのが境界性P.D.の特徴かと思います。

境界性P.D.については過去に動画を撮っていますので、よろしければご覧ください。

反社会性P.D.

俗っぽい言葉で言うと「サイコパス」です。
他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以上で起こる。15歳より前だと素行障害などになります。

以下の7つの特徴のうち3以上の場合に反社会性P.D.とされます。

1.法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。逮捕の原因になる行為を繰り返し行う。

2.虚偽性、嘘をつく。自分の利益や快楽のために人をだます

3.衝動的で将来の計画を立てられない

4.いらだたしさおよび攻撃性。喧嘩や暴力が多い

5.自分または他人の安全を考えない無謀さ

6.一貫して無責任である。安定して仕事を続けられない。経済的な義務を果たさない

7.良心の呵責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりする

衝動性が他者に向かっていき、共感性が欠如しています。
共感性が欠如しているのに、演技的技巧的で、相手を利用するのがうまかったりします。淡白な形でやっていきます。

どことなく自己愛性に似ている印象を受けるかもしれませんが、反社会性の方が自分にもある種、無関心です。

以上の4つがB群のパーソナリティ症です。
1つ1つを見るよりは4つを連続して見た方が疾患ごとの特徴もわかりやすくなりますし、人間理解にも繋がるのではないかと思います。

またそれぞれのパーソナリティ症ついても動画で取り上げてみようと思います。


2021.7.13

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