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他人の評価やアドバイスを気にしない方法

02:40 そもそもアドバイスは困難
05:29 そもそも問題を理解していない
08:33 相手の立場に立つことは難しい

本日は「他人からの評価やアドバイスは気にしなくていい」というテーマでお話しします。

ついつい気になりますよね。
相手からどう思われているのか、嫌われてるのではないか、苦情なのかアドバイスなのか分からないけれど、そういうことを言われたときにどうしたら良いのだろう、自分は変わらなければいけないのか、と思うと思います。

若いと思いやすいですし、他人からの評価はすごく気になります。
自分というのはどういう人間なのか、自分がやりたいことはどうなのか、自分のことをまだ理解しておらず自分の価値観が確立されていないときは、すごく他人の評価やアドバイスが気になります。

僕も田舎に住んでいましたし、その後自衛隊に入ったので、すごく密室的な感じ、自由な場所がない感じ、いわゆる同調圧力が強いような場所にいました。
若いということも加わってすごく相手のことが気になったり、自分が相手からどう思われているのか気になったりしましたが、今考えたら思い過ぎだったかなと思います。

精神科の患者さんはここが気になる方が多いです。

それは若いからということもあるし、病気が進む、不安なとき、病状が悪いときはついついすごく気になるのです。
そういうものです。

自信がないとき、自己肯定感が低下しているとき、うつのとき、調子が悪いときはすごく気になります。
だから「気にしなくて良い」と思い続けないと本当にバランスが取れなくなります。

では気にしないためにはどうしたら良いのかについて「こう考えたら良いんじゃないか」というアドバイスをしようと思います。

厳密に言えば「気にしなくて良い」と言いつつ、気になるし、ある程度問題を気にしなくてはいけないのですが、生きるコツというか精神科の病気があるときの乗り切るコツとしては「気にしない」という風に気持ちを持っていくことでようやくバランスが取れるので、気にしないということを考えましょう。

そもそもアドバイスは困難

なぜ気にしなくて良いのかというと、そもそも他人の評価やアドバイスはすごく難しい、困難なのです。
普通はしないのです。

普通は他人の評価などできないし、アドバイスはできません。
できないからやりません。
そんなこと自分が言える立場じゃないとみんな思うからです。

それを飛び越えてしてくるということは、相手に問題があるときがあります。
相手も立場上仕方なくしていることがあり、それは的外れなことが多いです。
難しいから的外れなことが多く、そもそもそういうことはしません。

いやいや精神科医はやっているじゃないか、他人の評価やアドバイスは精神科医の仕事じゃないか、と思われるかもしれませんが、精神科医のやっているのは、相手がどういう生き方をしようが、そう言うと失礼ですが、そのようなことは言わないのです。
別に評価とか、このように生きたら良いとは言いません。

ただ病気の部分や明らかな認知の歪みがあるので、それを指摘することはできるのです。
めちゃくちゃ変なところはわかるのです。

でももっと細かいところ、例えばA社とB社転職するにはどっちが良いか、微妙な問題ですよね、今休職して転職の準備をした方が良いのかどうかとか、そんなことは分かりません。
ましてやその現場も見ていないし、わからないです、本当に。

でも明らかに変なことは言えるのです。
「残業を月100時間させられて、私のことをバカだとかクソだとか死ねとか言ってくる上司なのですが、でもそれって愛の鞭ですか?」
いやそれは病気です、パワハラです、とそういうことは言えるのですが、ちょっと曖昧なものは言えません。

廊下を歩くたびにぶつかってくるおじさんがいるんですけれど、まあそれはどうなんだろう、でもひどいよね、と言ったりしますが、それがパワハラだという断言はしません。

明らかに変なものは言えるけれども、基本はそんなに言えません。
だから精神科医の治療は、基本は傾聴であり共感なのです。
細かいことまでは言えないし、どういう生き方が良いのか、どういう自分である方が良いのか、というようなことは言えません。価値観は提供しません。
そんなことはできませんし、それは他の人も同じだということです。

だからアドバイスとして、貯金をすることは正しいんだ、家は買ったほうが良い、賃貸が良い、などそんなのは誰にもできないことをやっているのは変だよ、ということです。気にする必要はありません。

そもそも問題を理解していない

他人からの評価やアドバイスを気にしてなくて良い理由としては、そもそも相手は、判断する前の他の条件を考慮していないということです。

「Aはダメだよ」と言っていても、そもそもAかBのどちらかをやらざるを得なく、でも結果はAのことだけしか見えていないので、Aのことを批判します。
でもそもそもBはもっと酷かったから、Aはまだマシだったということもあります。
A定食とB定食があって、B定食は明らかにハズレだったのでA定食を選んだのに、Aの文句を言っているというパターンが多いです。

「B定食を除外した」ということを結構忘れていたりするので、患者さんたちは、あの時自分はどういう決断をしたのか覚えてなかったりするので、言われた通りで自分がダメなのかなと思いがちですが、そんなことはないです。いろいろな条件から考えていますから。

相手も結局データに基づいていない、状況が整理されていない、されていない状況で目についたところだけ文句を言っているだけであったりすることが多いです。

本人以上に問題を理解していることは少ないです。
子どものときであれば親や学校の先生は子どもの問題を把握できますが、大人の問題は把握できません。
僕も患者さんの話を把握できないし、全部は見れません。

それはカウンセラーでも同じです。
大人の問題は複雑だし情報も多いので本人が一番良くわかっているのです。
本人以上にわかっていることはないので、あまり考えずに言っていることが多いのです。

経営コンサルタントだからコンサルしたら良い結果が出るかというと出ないわけです。
いくら学歴があって頭が良い人たちよりも、そこで働き続けた社長さんの方がよく知っていたりするのと同じです。

でもついつい弱っているときは他人のアドバイスが正しいような、他人の方が自分のことを知っているような感覚に陥るのです。

子どものときのような不安感や自信のない状態に戻ってしまい、信じてしまう、占い師の言うことを信じるんじゃないですけれども、他人からのアドバイスをすごく受け止めやすいのです。傷付いているときなどは特に。

でも相手が言っていることは適当ですから、気にする必要はないです。
あなたのことはあなたが一番良く知っているのです。

あなたが抱えている問題、あなたが抱えている仕事はあなたが一番良く知っているので、自信を持ってください。

相手の立場に立つことは難しい

相手の立場に立つことは難しいです。

まず知らないし、知った上でも相手の立場に視線を移すことは難しいです。

それは発達障害があるからというだけの問題ではありません。
発達障害がある人は相手の視点に立つことが難しいと僕もよく言いますが、定型の人だって相手の立場に立って言っていないのです。

感性が似ているから何となく相手の立場に立って言っているだけであって、何となく言っていることが共感されるだけで、相手の立場に本当に立っているかどうかは分かりません。

本当に相手の立場に立って相手のことを考えて、状況を整理してデータに基づいて、経験を踏まえてアドバイスをしてくれることというのは「苦くない」のです。
「良薬口に苦し」と言いますが、本当にその人の立場に立って言ってくれるアドバイスは、全然苦くないのです。
だからスッと入ってきます。

苦いやつ、苦い評価や苦いアドバイスというのは相手の立場に立ってないものの方が多いです。
それは良く思います。

患者さんの話を聞いていても思うし、自分の経験上も思います。
たとえちょっと耳の痛いことを言われても、本当に考えてくれていることは痛くないです。いや痛いか。
でも痛くても苦くはないです。
全然受け入れられますし、傷付くことは少ないです。そういうものです。

「ミュート」もOKです。
嫌な言葉はミュートもOKだと思います。
今の若い人はそうです、Twitterや何を見ても結構簡単にブロックします。
それで良いんじゃないかと思います。

誹謗中傷もそうですが、よく分からない人が適当に言っている文句に傷つくのが普通ですが、それは人間の本能みたいなものなので、あまり気にしなくて良いです。合理的に考えれば。
嫌だったらミュートしてしまうというのが全然普通です。
それは逃げでも甘えでもないので、ミュートするのが良いと思います。
相手は自分のことを全然理解せずに喋ってますから、それで良いんじゃないかな、と思います。

最初に戻りますが、精神科の患者さんは、弱っているときは特に相手の評価やアドバイスを気にしやすいし、それに一喜一憂しすごく傷付いたり疲れたりしやすいです。

気にしない、と思い続けるくらいで丁度良いしバランスも取れるので、とにかく気にするのはやめましょう。
それが治療的に大事なことだったりします。


2022.1.18

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